Sembukuttiarachilage Roland SILVA
イコモス名誉委員長
【スリランカ/建築学、考古学、保存科学】
 アジアを代表する遺跡保存の専門家。90年代、アジア人で初めてのイコモス(国際記念物遺跡会議)委員長として、アジアへ広がる保存活動を展開した。深淵なアジア遺産の評価と資産化を推進し、世界の遺跡保存活動に大きく貢献している。
シーギリヤの壁画について
説明するシルワ氏(1975年)
アヌラーダプラにあるストゥーパ(仏塔)の敷石を発掘中(1994年)
 センブクティ・アーラチラゲ・ローランド・シルワ氏は、アジア人として初のイコモス(国際記念物遺跡会議)委員長を務めて以来、遺跡保存活動の精神的支柱であり続けている。
 1950年代にはロンドン・AAスクールに留学し、同時に王立建築家協会高等研修コースを修了。この間、ロンドン大学考古学研究所で考古学を学び、さらにローマ大学などで保存修復教育を受け、88年にオランダ・ライデン大学にてスリランカの宗教建築研究で文学博士号を取得。この歩みの中で、アジアにおける遺跡保存の学問的理論化を進め、歴史学的洞察や芸術文化的な理解を深めると同時に科学的保存の手法化、適正技術の開発といった実践面での保存科学を構築していった。
 1960年代からユネスコやその諮問機関であるイコモスの遺跡保存活動に多くかかわり、スリランカのみならずアジアにおける文化遺産保存の提唱者・実践家として主導的な役割を果たしてきた。その結果、イコモス委員長として三期連続で活躍。積極的にイコモスの活動をアジアに誘致し、遺跡保存への国民的理解と国民参加型の発掘現場の運営方法を確立した。とりわけ世界文化遺産を守るユネスコ・キャンペーンでアジア最大の事業となったスリランカ文化三角地帯の保存計画を企画し、基金の創出から個別の現場の保存指導に至るまで幅広く全体を総括したことは同氏の代表的な業績である。
 一方、ユネスコの遺跡保存の専門家としてタイ、バングラデシュ、モルジブ、カンボジア、パキスタン各国の文化財行政を指導し、アジア各国における遺跡の世界遺産登録の拡大に尽力し、文化資産をもとにした文化ツーリズムの展開に貢献した。
 また、こうした見識を活かして、フレッチャー著『建築史』における南アジア・東南アジアの加筆担当者を務めたことでも知られる。
 このようにシルワ氏の業績は、遺跡の保存と観光資源化という矛盾する要素を調和させつつ、維持可能な遺跡保存の方策を提示したことであり、多くのアジアの国家と民衆に歴史遺産と歩む未来への夢と希望を与えた。以上のように、スリランカのみならずアジアそして世界の文化遺産保存活動における貢献が大であり、それはまさしく「福岡アジア文化賞―芸術・文化賞」にふさわしい。
(贈賞理由は受賞時のものです)
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